アキトさんにキスされちゃいました。

・・・額にですけど、でもびっくりです。

アキトさん、あなたにとって私は何なんですか?

妹?娘?それとも・・・

この際何でもいいです。あなたが側にいてくれるのなら・・・

約束ですからね


機動戦艦ナデシコ

once again

第五話 未来からの・・・


「艦長、引き継ぎ終了致しました。」

「お疲れ様です。サブロウタさん」

ウィンドウボールの展開を解きます。

「ナデシコは地球に帰投だそうです。」

「分かりました。ハーリー君」

掌握を行っている間の報告をサブロウタさんとハーリー君がしてくれます。

「それでは、帰りましょう」

ウィンドウに話しかけます。

「イネスさん、ジャンプお願いします」

医務室にいるイネスさんにお願いします。

「だめよ」

予想外の返事です。

「どうしてですか?」

「それはね」

「手短にお願いします」

先手を打っておきます。説明が始まると長いですからね。

「・・・まあ、いいわ。理由は何が起きるか分からないからよ」

「はしょっりすぎです」

さっぱり意味が分かりません。

「はいはい。ミスマルユリカの状態が不明なの。具体的には遺跡と融合してたのが完全に切れているのか分からないのよ」

「えっ!?それはどう事ですか?」

ユリカさんはまだ助かっていないの?

「遺跡は未知の物体なのよ。それと融合していたユリカさんには何があるか分からないわ、だから出来るだけ安全な方法を取りたいのよ。」

「分かりました」

ユリカさんのためです。通常航行で帰りましょう。

「これから、本艦は地球へ帰投します」

「「「「了解」」」」

「ナデシコ発進!!」



「各員、通常シフトへ移行してください」

火星から少し離れたところで警戒を緩めます。

此処まで来ればオモイカネだけで十分です。

「サブロウタさん、お願いしていいですか」

「はい!!任せてください、艦長!!」

ハーリー君、元気ですね。

「艦長、ごゆっくりどうぞ」

ありがとうございます、サブロウタさん。

ユリカさんに会いに行きましょう。



医務室に着くと人だかりがで出来ていました。

ナデシコAの元クルー達です。

「おっ、ルリ。遅いぞ!!」

リョウコさん

「感動の再会ね」

ヒカルさん

「・・・二人の艦長の再会・・・艦長の再会・・・感動の再会」

イズミさん。

「ほら、ルリルリ早く来いよ」

ウリバタケさん

みんなが私に道を譲ってくれます。

「はい、ありがとうございます」

私は医務室の中に入ります。

ベットの脇にはイネスさんがいます。

そして、ベットには・・・

「ホシノルリ」

イネスさんが促します。

「・・・ユリカさん」

手をユリカさんの頬に当てます。・・・暖かい。体温を感じます。

視界が滲みます。

涙は嬉しいときにも流れるんですね。

永遠に失われたと思っていた私の家族・・・

言葉に出来ない想いが体を満たしていきます。

「ユリ「艦長、緊急通信です!!」

ハーリー君、後でお仕置きです!!!

「どこからですか!!」

「先ほどの船籍不明艦からです」

アキトさん!?

「繋いでください!!」

「はい!」



【私はユーチャリスのオモイカネ級AIダッシュです】

ウィンドウには何も映っていません。音声だけのようです。

「アキトさんの乗艦している船ですね」

【はい】

「アキトさんはどうしたんですか?」

何か嫌な予感がします。

【そのことですが、そちらにイネス・フレサンジュはいらっしゃるでしょうか?】

「いるわよ」

【緊急事態です。そのためドクターの指示を仰ぎたいのですが】

「ちょっと、どういう事!?」

【現在、アキトは昏睡状態に陥っており私では対処できません】

「「「「「「なっ!!」」」」」」

「分かったわ。すぐそっちに行くわ」

イネスさんがジャンプしようとします。

「だめです!!イネスさん」

「何で止めるの!!お兄ちゃんの一大事なのよ!!」

「だからこそです!!」

焦る気持ちを抑えイネスさんに説明します。

「最悪、設備のあるところまでジャンプしないといけないんですよ。日に何度も長距離のジャンプはできないはずですよね」

そうです。最悪の場合を考えて行動しないといけないんです。

「・・・そうね。ダッシュ、ナデシコと合流して。あとアキト君の容態を送って。ラピスはどうしてるの?」

【了解、合流します。ラピスは泣き疲れて眠っています】

「ハーリー君、合流ポイントの提示及び操艦をお願いします。」

「はい!!」



「それでは発進します」

エステを発進させます。

協議の結果、私とイネスさんがエステで行くことになったんです。

「艦長、あとは任せておいてください」

それもサブロウタさんのお蔭です。感謝感謝です。

「本当に大丈夫なの?」

イネスさんは心配しつづけています。

たしかに私はエステの操縦は初めてですが戦闘するわけじゃないから大丈夫ですよ・・・たぶん。

「きゃぁ〜」

イネスさんが悲鳴をあげてますが大丈夫です。

ちょっと、逆さになっただけです。宇宙には上下が無いから問題なしです。

「止めて〜」

ちょっと、錐もみ飛行をしただけです。思ったより操縦は難しいですね。

「大丈夫か?ルリ」

リョウコさんが心配そうに声を掛けてきます。

「問題無しです」

「・・・イネスさんはかなりきつそうなんだが・・・」

「乗り物に弱いんじゃないですか?それより周囲の警戒お願いしますね」

「・・・ああ」

サブロウタさんを除くパイロットの方は私の護衛をしています。敵が来たらいちころですからね。



何事も無くユーチャリスに着きました。

「・・・二度と貴方とエステには乗らないわ」

「そんなことより、早く行きましょう」

「・・・そうね。ダッシュ案内して」

【了解】

ウィンドウが現れ矢印を表示します。

さっさと行きましょう。

プシュ〜

扉を開くとそこにはベットがありました。

そこにはアキトさんが横たわっていました。

そして、アキトさんに抱きつくような形でラピスさんが眠っています。

私も抱きつきたいですが診察の邪魔になるからやめておきます。

イネスさんがてきぱきと診察を始めます。

「・・・機材が足りないわね」

「ナデシコから持ってきますか?」

「あるなら持ってきてるわよ。・・・ジャンプするしかないか。ダッシュ、エリナに繋いで」

【了解】

すぐにウィンドウが開きます。

「遅かったわ・・・ドクター!?ホシノルリ!?」

「説明は後でするわ。今からそちらに跳ぶから準備お願い」

「・・・分かったわ」

エリナさんがイネスさんの様子から唯事では無い事が分かったんでしょう。何も詮索してきません。

「ルリちゃん、貴方も行く?」

「もちろんです」

「やっぱり。ナデシコに連絡は入れときなさい」



「ディストーション・フィールド展開確認、ジャンプ・フィールド展開開始」

ユーチャリスのオペレーターシートで操艦します。

【ジャンプフィールド展開しました】

「目標、月、ドック・・・ジャンプ」

何ともいえないジャンプ特有の感覚が体を襲います。

【ジャンプアウト確認】

ダッシュが告げます。

「現在地は?」

【予定通りの場所です】

「・・・ドックに向かって」

イネスさんはかなり辛そうです。

「分かりました。」

ダッシュが目的地と航行ルートを表示してくれます。

表示されたルートはかなり複雑です。レーダーの隙間を潜っていくようです。

ネルガルに面倒をかけるのもなんなんで此処は丁寧に行きましょう。



ドックに入り停船します。

待ちきれなかったのでしょうか?エリナさんが艦内に入ってきたようです。

「ダッシュ、エリナをアキト君の所に誘導して」

【了解】

「私たちも行きましょう」

「はい」

私たちもアキトさんの所に向かいます。

先に着いたので部屋でエリナさんを待ちます。

プシュ〜、扉が開きエリナさんが入ってきました。

「アキト君!?ラピス!?」

ベットに横たわるアキトさんとラピスを見てエリナさんの顔が青くなりました。

「二人とも生きてるわ」

「・・・そう」

イネスさんの一言にエリナさんがほっと胸をなで下ろします。

「いったいどうした・・・」

「「「えっ!?」」」

唐突に視界が虹色がかります。

「これはボ・・・」

イネスさんの科白を聞き終えることなく私は意識を失いました。


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