血のような紅と闇よりもなお暗い黒が交錯する。
二つの色は混じり合い
ピンクがあとに残った。
プロローグ
漆黒の鎧を捨て去ったピンクの機体は身じろぎ一つすることなく闇に浮かんでいる。
パイロットはほうと息を吐き出した。
「・・・回収を頼む」
誰に言うでもなくつぶやく。
「分かった、すぐ行く」
誰もいないはずの空間から答えが返ってくる。
パイロットはその言葉を聞くと目を閉じシートに体を預けた。
ピンクの機体に純白の船が近づきその中にしまい込む。
「これからどうするの?」
先ほどの声がパイロットに声をかける。
しかし、語りかけられた者は何も答えなかった。
「・・・アキト、アキト」
名前を呼ぶ声で意識が覚醒する。
目の前には二度と見ることは敵わないだろうと思っていた顔がある。
「・・・ユリカか」
「そうだよ。奥さんの顔を忘れたの?ユリカ、プンプンだよ。」
昔と何にも変わっていない。
自然と笑みがこぼれる。
「無事だったか」
「うん、アキトのおかげだよ」
微笑みながら答える。
「時間がないから詳しいことは言えないけど、アキトを信じてるから」
「それは・・・どういう・・・事・・・だ・・・」
何の脈絡もない言葉に問いただそうとするが意識が遠のいていく。
「ルリちゃんをお願いね」
目の前が虹色に覆われた。
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